台湾看護師外出中

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尾瀬ヶ原/with 夏ちゃん

 夏ちゃんと一緒に夜10時の夜行バスで尾瀬高原に行った。私たちは明け方の4時に尾瀬戸倉に着いた。気温は12度ぐらい、小雨が降っていた。シャトルバスを待っていた一時間、夏ちゃんが私の来日三年間を祝うケーキをくれた。心が暖かくなってきた。夏ちゃん、ありがとう!シャトルバスに30分乗り登山口の鳩待峠に到着した。トイレに行って朝食を食べてから6時ごろ尾瀬ヶ原の方に出発した。

 

 今回は入門コースにした。一番人気があるコースだと聞いた。鳩待峠から山ノ鼻に行って、牛首分岐を経て竜宮小屋に向こう。片道は7.7キロであり、往復は15キロぐらいあるコースだった。鳩待峠の標高は1591メートルで尾瀬ヶ原の標高は1400メートルなので、入山してしばらく川上川に沿っった降り道である。山林を歩くと、霧の中の葉はまだ湿潤で、葉の先の露の珠は丸くて、すべての植物は豊かに潤されている。

 

 ちょうど紅葉の季節で登山道に落ちていた一枚一枚の紅葉は道しるべになってくれていた。一枚一枚の紅葉を踏んで前に進むと、まるで別の世界に入るようだった。川上川の反対側の山壁は百名山至仏山である。オレンジ、赤、金と緑色の塊があちこちに散らばっていた。大きく描かれた水彩画のようだった。湿気は肌に浸透し、肺が霧を吸い込み、徐々に上がっていく心拍数に合わせて、頭の中の仕事の焦りを洗い流していく。この山ノ鼻までの道は、まるで表参道のようであった。

 
 山ノ鼻の方に行くにつれて、樹木はだんだんまばらになり、道の後半もだんだん平らに入り、カーブをまがって樹林から尾瀬ヶ原に入ると視野が無限に広がっていた。足元の桟道はとても長くて長くて延々と延びていく、画面の消えたところに繋がっていた。百名山の燧ヶ岳は、王様のように、草紅葉の黄金色の玉座に座っている。道に点々散在いる人々が、一歩一歩聖地に向かっていく。霧が消え、雲が漂っていた。そよそよと吹いている風が草紅葉をゆらしていた。

 

 出発して4時間ぐらい竜宮に着いた。今日は山ご飯を作ってみようと思って道具を持ってきていた。200mlのお湯を沸かし、三分早ゆでパスタを入れ、ポタージュ二つと半分に切ったソーセージを加え、10分間でホワイトソースパスタが出来上がった。夏ちゃんの好評をもらった。初めての山ご飯ロック解除に成功した。そして、新しく買ったスノーピックのカップでコーヒーを一杯入れて、「スノーピックのコップでコーヒーを飲む」という願いも達成した。とてもとても満足だった。

 

 帰り道は燧ヶ岳を背にして、桟道のそばの池や植物たちをよくみながら歩いていた。水が澄んでいて、水草が波に乗ってゆらゆらと揺れていた。池にも燧ヶ岳が逆さまに映っていた。池の中の燧ヶ岳は優しく感じた。

 

 普通の山旅とちょっと違って、帰りはゆっくりと上りの道である。出山口を出ると、黒い車道が目に入り、不思議な旅から覚めたようだった。こんな美しい季節に訪問ができて幸せだった。